脳梗塞の後遺症、リハビリ|回復期リハビリテーション.net

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脳疾患・骨折・関節手術の後には

自分や家族が脳疾患になったときや大きなケガをしたとき、治療後どうしたら「元の生活」に戻れるのかが気になるところ。回復期リハビリテーションが必要な疾患ごとに、知っておきたい情報をまとめました。

脳梗塞になってしまったら

脳梗塞ってどんな病気?

脳血管障害ともいわれる「脳卒中」は、脳の血管が詰まったり、破れたりして、いろいろな脳の障害を来す病気全体をさしています。脳卒中による死亡率は、1951年から約30年にわたって死亡の原因の第1位でした。現在では、その後の急性期治療の進歩により、がん、心疾患に次ぐ第3位となっていますが、脳卒中の患者の全体の数はむしろ年々増加しています。
「脳卒中」の中で、血管が詰まることにより起こるのが「脳梗塞」です。

脳卒中の種類

脳梗塞では脳血管が狭まったり、塞がれたりすることで脳神経細胞に血液がいかなくなり、運動麻痺、感覚障害、高次脳機能障害、意識障害などのさまざまな症状が起こります。 脳に大きなダメージを与える脳梗塞は、治療後も後遺症として残ったり、数年のうちに再発したり……、さらには最悪の場合命を落とす可能性がある脳疾患です。「脳梗塞」の中でも徐々に進行していくものや、突発的に激しい痛みが現れるものなど種類によって特徴が異なります。運動麻痺や感覚麻痺などの自覚症状が現れる頃には既に病状が進行していることが多いため、生活習慣による日々の予防、もしなってしまったときは初期段階での発見・治療と適切なリハビリテーションが鍵を握っています。

脳梗塞の種類は?原因は?

脳血管が狭まり、塞がれてしまう原因には「脳血栓症」と「脳塞栓症」があります。
「脳血栓症」(ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞)は脳血管の狭窄部位で血小板(血液に含まれる細胞成分の一種)により血液のかたまりである血栓が作られ、血管が詰まることで起きます。そもそも血栓ができる要因として考えられるのは、動脈硬化などによる血管壁の変化や、血液のうっ滞や濃縮などによる血流の変化、抗リン脂質抗体症候群などによる血液凝固能(血液が固まる機能)異常などがあります。
「脳塞栓症」(心原性脳塞栓症)は心臓や起始部の動脈などでできた血栓が流れてきて脳血管を閉塞させることにより発症します。塞栓の原因としては心臓弁膜症や不整脈である心房細動などにより心臓内にできた血液のかたまりにより起きると考えられています。

脳梗塞の種類

ラクナ梗塞(脳血栓症の一種)

脳梗塞の中でも特に多く見られるのが、「小さいくぼみ」という意味を表す「ラクナ梗塞」(脳血栓症の一種)。細い血管が詰まって生じる小梗塞のことです。 脳の細い動脈壁が長期間高血圧により変化し、閉塞することによって生じるラクナ梗塞は、その小ささから意識障害や高次脳機能障害は認められず、実は症状を出さないことも少なくありません(その場合は無症候性脳梗塞といいます)。

アテローム血栓性脳梗塞(脳血栓症の一種)

動脈硬化(アテローム硬化)によって狭くなった血管に血栓ができ、ラクナ梗塞よりも太い血管が詰まって起こる脳梗塞が「アテローム血栓性脳梗塞」です。動脈硬化が基礎病変にあるために高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が主因になります。

心原性脳梗塞栓症(脳塞栓症の一種)

心臓内の血栓が血流に乗って脳に運ばれ、脳内の太い血管や複数の血管を閉塞させ起こる「心原性脳塞栓症」は他の血栓症と異なり、急激な発症、発症直後の神経症状の完成や失語、失行、失認などやいわゆる高次脳機能障害を伴うことが多く重篤な脳梗塞となることが多いことが特徴です。

脳梗塞の後遺症

脳梗塞を含め、脳卒中は発症後治療しても後遺症が残ることが少なくありません。脳の細胞がダメージを負うことで、体の麻痺や感覚の障害、脳に障害が残る可能性もあります。後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることもあるので、ご自分やご家族が脳梗塞になったときは、脳梗塞自体の症状だけでなく後遺症まで知っておくことが大切です。

後遺症の名称 主な症状
運動麻痺 運動麻痺 右上下肢あるいは左上下肢が動かなくなる症状。痙性麻痺と弛緩性麻痺があり、一般に麻痺は下肢よりも上肢に強いことが多い。脳梗塞や脳出血が生じた脳の部位よっては下肢に強い場合も。
感覚障害 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなる場合と逆に過敏になり痺れを感じる場合がある。脳梗塞・脳出血発症後半年くらい経ってからしびれが強くなるケースも。
目の障害 目の障害 視野が狭くなったり、物が二重に見える「複視」という障害、片目の視野が見にくくなる「半盲」という障害もある。発症後長期間にわたって症状が残る場合があります。
構音障害 構音障害 いわゆる呂律の回りにくさで、比較的回復しやすい場合と症状が長期にわたり残りやすい場合があります。
嚥下障害 嚥下障害 食べ物を飲み込みにくくなる症状で、大脳の片側に病変が限られている場合は回復が見込めるが、延髄など脳梗塞の部位によっては回復が難しい可能性も。
高次脳機能障害 高次脳機能障害 脳の損傷により神経に異常が起こり、運動障害や感覚障害が発症することをさします。一口に高次脳機能障害といっても、表れる症状はさまざま。
記憶障害 物忘れが激しいので物の置き場所を忘れてしまう、道順を忘れる地誌的記憶障害。昨日あったことも覚えていないので何度も同じことを聞く、言われたことや読んだものを忘れる言語性記憶障害。名前や作業手順が覚えられないので新しい仕事ができない、記憶の前後がわからなくなり見当識が悪くなる症状など。
注意障害 注意散漫で集中できないため、ほかから刺激がくると注意がそれてしまって、今やっていることがおろそかになってしまう。ふたつのことを同時に行うと混乱してしまうなどがある。
遂行機能障害 自分で計画を立てて実行できず、物事の優先順位もつけられないので、いろいろなことの手順がうまくいかない。
社会的行動障害 行動や感情を状況に合わせてコントロールができないため、すぐに怒ったり暴力をふるったりする、思い通りにならないと大声をだす。
病識欠落 自分ができなくなっていることを指摘されても自覚できない。
失語症 言葉が出にくくなる「運動性失語」と、言葉を理解できなくなる「感覚性失語」がある。文字の理解や、文字を書くことができなくなる症状を伴うことも。
半側空間無視 外界の半側(主に左)に注意が向かない症状で、顕著な場合にはリハビリの妨げに。身体失認手足が動かないことなどを否定する症状で、半側空間無視に伴うことが多い。
自発性障害 自ら進んで動作に移れない、話せないなど。
などのほか、まだいろいろな症状があります。

リハビリの必要性

神経機能の回復のメカニズムはまだ良く分かっていないことも多いのですが、少なくとも早期にリハビリテーションを開始すると、機能予後は格段に良くなることが分かっています。リハビリテーションは体の運動機能の回復だけでなく、心理的・社会的な回復も意味しています。一人ひとりの障害・程度に応じたリハビリテーションを行うことで、その人がもともと行っていた日常生活にスムーズに戻れるようにしていくことが重要です。また、リハビリテーションは本人だけでなく、家族や友人などの周りのサポートや理解も重要なポイントとなってきます。

発症

急性期

救急病院等医療機関

発症・治療直後は全身状態が変化しやすく、再度危険な状態になりやすいために生命維持が優先されます。治療後〜14日はベッド上でのリハビリテーションが中心に。
ただし、「廃用症候群」※などを防ぐために、無理のない範囲でベッド周辺でのリハビリテーションを開始します。

急性期で行うリハビリテーション
  • ・手足の関節を動かす
  • ・麻痺のある手足を良い位置に保つ
  • ・寝返りを打つ  等主にベッド〜ベッド周辺で行う
※廃用症候群とは?

寝たきり状態や不活動状態が続くことで、筋肉が萎縮し衰え関節が硬くなり骨が委縮し運動機能が衰えた状態のことをいいます。体のさまざまな器官が機能しにくくなり、寝たきりによる床ずれ、深部の静脈に血液のかたまり形成(深部静脈血栓症)、起立性低血圧、感染症などさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

回復期

回復期リハビリテーション病棟

急性期を脱し病態や血圧が安定してきた頃、症状に応じて様々なリハビリテーションが開始されます。基本的には、日常生活を行う上で必要な動作が行えるよう運動機能・嚥下機能・高次脳機能などを改善させるリハビリテーションが中心となります。

回復期で行うリハビリテーション

運動機能に関するリハビリ(理学療法士・作業療法士が担当)

まず、どの程度の運動機能の障害がどこにあるのか、筋力や関節の動く範囲、基本動作がどの程度可能かを評価します。次に基本動作の自立を目指し、様々な練習が始まります。

  • ・基本動作の自立……寝返りをうつ、ベッド上で座る、ベッドサイドで立つ、自力で座る、立つ
  • ・歩行訓練……バランス獲得、車いすへの移動、杖や歩行器などを用いた歩行練習
  • ・応用動作の訓練……手芸や工作、その他の作業
  • ・日常動作……食事やトイレ、着替え、入浴動作

これらの動作を安全に行うため、注意点や段取りなどを理解させ、繰り返し訓練を行います。

嚥下・言語機能に関するリハビリ(言語聴覚士が担当)

まず言語聴覚士による機能の評価、内視鏡やX線透視装置を用いた飲み込みの評価を行います。次に発声や舌の運動、首回りや肩の筋肉を動かしたり、舌や喉の奥を刺激したりする間接的訓練、その人の機能に応じた食事形態で飲み込みの練習をする直接嚥下訓練などをしていきます。
急性期で口や鼻から管を入れて流動食を流して栄養管理(経管栄養)をしていた方も、これらの訓練を行うことで多くの方は口から食べることができるようになります。

  • ・口周りの訓練……発声や舌・口・のどの筋肉を動かす運動
  • ・顔周りの訓練……首回りや肩の筋肉を動かす運動
  • ・関節的嚥下訓練……凍らせた綿棒で喉の奥を刺激するなど
  • ・直接的現下訓練……ゼリーや水などの食物を用いる飲み込みの練習

機能に応じ発声練習・理解の向上、ゆっくり話す練習や舌の運動、口周りのストレッチや状況に応じて文字盤や日常よく使う言葉を、カードを用いたコミュニケーションでの練習などを行います。

高次脳機能障害を防ぐためのリハビリ

注意障害や遂行機能障害、半側空間無視、失行、失認などさまざまな機能評価を行い、先ず障害を認識して頂くことから始めます。次にその人の障害に応じて、日常生活動作を確実に危険なく行えるにはどのような点に注意すべきか理解を深め、繰り返し同じ行動を練習する、メモなどを用いて記憶の曖昧さを補うなどの工夫をしていきます。

  • ・プリント教材や風船、積木などの物品を用いた訓練
  • ・繰り返し同じ行動の練習
  • ・行動の順序を確認する

維持期

自宅・リハビリテーション設備のあるクリニック
維持期に行うリハビリテーション例
  • ・クリニックで物理療法を受ける
  • ・生活の中の日常動作
  • ・散歩や軽い運動

一度回復した機能も、退院後何もしないでじっとしていると再び機能低下が進みますので、退院後も外来や介護保険を利用したリハビリテーションを続けることはきわめて重要であると言われています。