管理栄養士インタビュー|回復期リハビリテーション.net

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働くスタッフインタビュー / 管理栄養士

管理栄養士

プロフィール

石倉玲子さん: 今はまっているのはパン作り。料理が好きで外食した際の味を自宅で再現するなど365日公私ともに食に関わっている。

茂木美香さん: 子どもの頃はひどい偏食だったが、今はプライベートでは食べるのが専門だとか。元気な笑顔がチャームポイント。

―お仕事の内容や役割を教えてください。

石倉 : 主な仕事は入院中の患者さんの体格や活動量に合わせた食事の提供です。身長、体重、年齢や車いすを使用しているのか、自分で歩けるのかなど状況に合わせカロリー計算し献立を考え、厨房スタッフとともに食べやすい状態に固さや味付けを変えていきます。また、在宅に戻ったときにも安全な食生活を継続していくために指導を行っています。

茂木 : さまざまな障害を抱えた方が入院されてくるので、それぞれの疾病や体格差に合わせて、どういった形で自宅に戻れるかを考えたり、いかにリハビリが効率よくできるかをサポートしたりするのが私たちの仕事です。体力がない人は短時間で栄養が摂れるように食事内容をコンパクトにしますが、それだけだと栄養が足りなくなるので、病棟に協力をいただきながら食間に補助食品を付けるなどカロリーを補うことで、リハビリで最大限の力が出せるようにお手伝いしています。

―ほかの科との連携はどのように取っていますか?

茂木 : 咀嚼機能や嚥下(飲み込み)機能に問題があれば、医師に相談したり看護師から日常の状況を聞き対応しています。食事形態や嗜好面についてご家族と話をする場合には言語聴覚士に同席してもらうこともあります。

石倉 : とにかくよく会話をします。低栄養の患者さんの場合にはNST委員会(栄養サポートチーム)で改善に向けて話し合います。職種が違えばいろいろな意見が出てきます。食べられないということについてもさまざまな要因があるので、解決に向けて皆で話し合う機会を大切にしています。

―この仕事はどんなところが大変だと感じますか?

石倉 : 献立を決める基準を定めてそれを元に委託会社に献立を立ててもらっていますが、毎回試行錯誤していますね。地域によって患者層も違いますし、スタッフの中でもそれぞれの経験で考え方が違うので、一つにまとめるのはなかなか難しいと感じています。

茂木 : 私たち病院内にいるスタッフだけで厨房が動いているわけではないので、業者も含めて業務を考えていかないといけない点ですね。マンパワーの問題など一筋縄でいかないことも多いですね。

―患者さんと直接接することはありますか? 気をつけていることは?

石倉 : 食事時間には病棟を回って、「食べられていないけれどどうしましたか?」「固かったですか?」と食事の様子を見て声をかけ、喜ばれる給食を出せているかを確認しています。その際私は、検査食を食べて味を把握してから患者さんのところへ行きます。だって、薄くておいしくない物っていくら体にいいから食べなさいといっても食べたくないですよね。でも自分が先に食べていてちょっと薄いなということがわかっていたら、「今日の味付けは薄かったですよね。私もそう思ったんです」とお話することができます。逆においしいとわかっていれば、「今日のおかずはおいしいよ、食べてみませんか」と言えるので、検査食の試食は重要ですね。

茂木 : 患者さんは入院生活が長くなってくるといろいろなところに不満がでてきます。そんなとき、私たちがどんよりした顔をしていると患者さんも気がめいってくると思うので、常に笑顔で接するようにしています。マスクをしていますがマスクの上からでもわかるような笑顔を心がけていますね。あとは、食べられなかった患者さんで少しでも食べられるようになったら、「すごいですね」と前向きな声かけをします。他にもちょっとでも変化があったら、「髪を切りましたか?」といったように、日々人間関係を構築できるようにしていますよ。そうやって距離を縮めていかないとなかなか正直な意見は聞けないので、些細なことでも気に留めるようにしています。

―患者が食事を楽しいと思える工夫はされていますか?

石倉 : 月に一度は行事食を出しています。手作りと分かっていただいているようで、皆さんそれから食べてくれるのでうれしいですね。また制限食の方については、例えば急性期の病院では糖尿病の患者さんに揚げ物は出さない傾向にあると思いますが、回復でして在宅になることを考えると、基準の範囲の中であれば揚げ物を出すこともあります。

茂木 : あまり締め付けすぎるとストレスが貯まってしまいますから。

石倉 : ただ、常食の患者さんと同じ物を出すとやはり血糖値が上がっているので、気にしながらの提供にはなりますが。フロア食の場合、並んで食べていると隣の人の食事がどうしても見えてしまうので、なるべく同じものを出したいなという気持ちはありますね。

―これまで仕事をしてきた中で印象的な出来事はありますか?

石倉 : 認知症があっての食事不良の患者さんで少しでも食べるとお腹いっぱいという方がいました。そこでリハビリスタッフと相談して、少し食べては一回食事を終わりにして、車いすで一周してきた後、もう一度ご飯だよと言って食事を出すことにしました。それを繰り返しているうちに、最終的にきちんと食事をしていただけるようになったのですが、これは時間と環境を変えることをうまく利用した良い症例として印象に残っています。こういったことができるのも回復期病院の特権です。長期に渡って見られるのがすごくいいところで、やりがいを感じられますね。

茂木 : 開院したてでどうやって患者さんに接していいのか試行錯誤していたときに、経鼻胃管で食事を召し上がっている患者さんのご家族で非常に熱心な方がいらっしゃいました。検査データなどの情報から改善は難しいと考えていたのですが、ご家族の意見をもとに看護師へ相談するなどして、最終的には歩けるようになり経口からも栄養が摂れるようになりました。みんなで力を合わせて諦めないで取り組めばよい結果が出るんだと感じられた症例でしたね。回復期では最初の状態と比べ、人が変わるくらい良くなっていかれるのを目の当たりにすることができ、それを見られることがやりがいになっています。

―この仕事を選んだ理由は何ですか?

石倉 : 子どもの頃からお菓子作りが好きで、レシピをノートに書き写していました。食に関する仕事をしたいなと考えていたのと、姉が病院に勤務していたことから臨床に興味を持つようになりこの仕事を選びました。20年近く続けてきた中、退職するタイミングなどで別の仕事をやってみようかと考えたこともありましたが、やはり別の仕事は選べませんでしたね。もう天職だと思っています。好きなんです。食べることが好きということが原点なのだと思います。特に回復期では臨床も楽しく、自分の出した食事で患者さんの血液データがよくなっていくのがわかるのが楽しいです。若い栄養士たちにもそういったことを伝えていきたいですね。

茂木 : 実は私はひどい偏食で、お菓子しか食べないような子どもだったのですが、中学生になって部活動を始めてから何でも食べるようになり、その変化を機に栄養の勉強ができる大学に進みました。最初は病院栄養士になることは考えていなかったのですが、病院実習で患者さんと接している中、どんよりした表情で栄養指導室に入ってきた人が、想像よりも簡単にできるとわかり、ホッとして表情に変化が現れるのを見ていたら、人のために自分の知識が生かされる仕事ってすごいなと思って。それがきっかけでしたね。日々患者さんの改善していく様子を見ると、本当にこの仕事をしていて良かったと思います。

―今後の力を入れていきたことを教えてください。

石倉 : 歩いて帰る患者さんを見ていると本当にすごいなと思うので、そのサポートにより力を入れていきたいです。国が定めた塩分の基準に沿った献立を考えるのは容易ではありませんが、守るべき基準と患者さんの気持ちをうまくバランスをとり、許容の中で喜ばれる食事を提供していきたいです。

茂木 : 摂食嚥下やリハビリ栄養といった分野に特化して力を入れていきたいです。あとは美味しさの追究ですね。患者さんの生活環境によって嗜好は変わってくるので、万人には無理でもほとんどの患者さんに喜ばれる食事を追究していくことが大切だと思います。いろいろな職種の人の意見を聞きながら、取り組んでいきたいです。